枯れた青い花


憂鬱は 枯れた青い花


足音立てない猫のように


ひっそりと 奪っていった




もう戻らない


僕の こころ 


17歳


探したい


偽善の一部に なる前に




確かめたい

心をなくして しまう前に 

innocence


『あれからずいぶん背も伸びた。

 なのに、空はどんどん遠くなっていく。』


I have grown much taller since then.

But the sky is getting farther and farther away. 

『音楽』



旋律 ―― 心から心へ 飛び立つ翼の軌跡


五線の檻に囚われながら 何よりも自由を歌うもの ―― 音楽! 

これからどこに行くのかなんて、音符に聞いてみないとわからない。 

ノルの想い、詩人の歌


しずかな微笑みを浮かべて、詩人はひとつ、ふたつ、和音を弾いた。


「時に奪われ、風にさらわれる定めの歌が、心に美しさを残してゆくのは不思議なものですね」


ぼくは弦から離れた音を辿ってみた。風は切れ切れの歌を乗せて北西の方角に流れていった。

そうかもしれない、空に留まったまま、いつまでも形を変えない雲なんて、美しくも何ともない。

…それでも、【消えない虹を描きたい】、ぼくの想いは変わらなかったんだ。 

夏とノル


「暑い、暑い、ほんとうに人間たちは同じことを言うのが好きだなあ。」


妖精の耳で、遠くで交わされる旅人達の会話を聴きながら、ノルはひとり、つぶやいてわらいました。


「夏が暑いなんて、あたりまえじゃないか。ぼくはどんな季節だってすきさ。」 

絵と音楽


私にとって、絵と音楽というものは、言葉と同じくらい大切なものです。


光や色の原理なんて、よく分からない。


作曲法も、勉強したそばから忘れてしまった。


でも、光と影で、透明感のある、存在感のある、その作品の中に入りたいと思わせるような、魅力のあるものを創りたい。


必ずしも完成度が高くなくてもいい。


雑な走り書きのような描線でも、旋律でも、構わない。


写真のように描くことも好きだけど、オーケストラを構成するのもやりがいがあるけど。


ああ、うまく言えないな。


心から心へと伝わる、そんなものが創りたい。

季節より早く歩ける人はいないなぁ。


No one can run faster than the seasons. 

輝くのは


私の絵が輝くのは


哀しみが補色となって寄り添うから


流した涙で


虹の七色を溶いたから…… 

道化師の森―少女の呟き


あたしは馬鹿だ。


あたしはあいつを笑ったけど。


誰の足だって汚れるんだ。


靴を履いていなければ。


泥の中を歩いたならば。


僕は君ほど高く跳べない。


僕は君ほど高く跳べない。


月曜日を緑色に染めた。



忙しいなんて言い訳を使いすぎた日。


空を睨み付けてどうしようってんだ。 



(記憶に残っている空は いつも青いんだ。


でも瞼の裏は まるで裏返したみたいに赤くて。)



偉人の顔が描かれた


薄っぺらい紙切れをかき集めて、


一枚一枚張り合わせたら


翼になるとさえ信じている今の僕。



(電車の窓 流れる景色 狭いビルの隙間に


汚れたアルペジオを投げつけるのを恐れて


みんな歌を殺している。)



何でも計れる万能のスケールは手のひらサイズ。


そして物は消え 形に関する曖昧な価値だけが浮遊する。



資本主義は見事に世界の軽量化に成功して


無臭のままスーツに染み込んでいた。



(脱ぎ捨ててさえ 一人ではもう 裸になれず


今日も押し合いへし合い 


定員オーバーのボートからこぼれ落ちないように


『勤勉』と書かれた国境線にしがみつく。)




僕は君ほど高く飛べない。



空っぽの鳥かごと引き替えに、


ほんの少しでいい


ほんとの自由を分けてくれないか?