あとがき

 

 この「ケンジとドラゴンのひみつ」は、まだ赤ちゃんだった我が子を主人公にしたお話でもいっちょ作ってあげようかなとトラウマで死にかけながら隣で話していたら、なんと息子は聞いてもいない(聞いてはいるか……一応)のにラストでママが大泣きするというおかしな事になり、うまれました。

 まぁ、いつもおかしいので平常運転です。

 

 ケンジというのは、皆さんご存知の日本を、世界を代表する詩人であり童話作家である宮沢賢治氏……僭越ながら真の私の魂の理解者であり、暗闇に射したやさしい美しい世界をくれた恩師でもあります。彼に心からの感謝と、変わらぬ尊敬を込めタイトルにもお名前を拝借させて頂きました。

  

 テーマ、キャッチコピー。ひとことでは書き表せないからこそ、ものがたりは産まれ、それは読む人ひとりひとりの心へと還っていきます。クラムボンが何かなんて、答えを決めつけるのはやめろし!ってそれもまた自由。芸術には創作には、いつも、私の求めてやまない自由への翼がありました。

 

 大切なことは心の目で見えるものです。世界中に散らばる美しいもの、それを描くひと歌うひと伝えるひと。何かを見て聴いて「美しい」と感じるその心こそが何よりも美しいと思いませんか? 

 それはこの世に産まれた命すべてに贈られた、名付けようもない尊い光輝く最初の宝物です。

 世の中は恐ろしいほど平等ではありませんが、その贈り物は元来誰もにひとしく配られていたはずだと、今も尚信じています。

 

 こども向けと一蹴されがちな童話は、本当は大人にこそ必要なのではないでしょうか。こども達のまっさらな目を借りて、世界をもう一度見つめ直すために……そう、賢治のように「どうしてもこんなことがあるように思えてしかたがない」ことを感じたままに私も書きました。というのはカッコつけただけの建前でいつの間にか出来ていただけなので、Don’t Think.Feelしすぎでいけません。大人になりたい。

 

 あとがきに「謝辞」を書くのってカッコイイナァ……と憧れていたのでそれもやります(いつか本になれ〜なれ〜なまねこなまねこ)。


 先に述べた宮沢賢治氏(リアルマイファーザー)、命の恩人である青島多津子先生、中学校一年の担任の常光寺範子先生、大切なことをたくさん教えてくれた祖母いちばあとスナフキンのような安喜男くん、可愛い甥っ子たち。学生時代皆無なのに意外といた元友人、思い返せば護り神だった歴代ネコォ達、とねちゃん。そしてTwitterで出逢った共に闘う仲間、今も見守ってくれている亡き優しい友に、見えないけど確かに側にいる巨きな何かに……心より感謝します。


 何よりもほんとうのママに戻してくれた、誰よりも私を強くしてくれた、天からの奇跡の贈りもの、息子へ。限りない愛を込めて。

 

 令和四年(とんでもな年だったな……)の終わりに                                        

🍄Erina🍄

 

 P.S.

 ケンジ、猫はばかじゃないよ!