【 冬 の 贈 り 物 】



目を覚ましたら、いつもより部屋の中が明るいような気がした。

どきどきして窓を開けてみる――まぶしい!

遠くの山も、細い枝の一本一本も、あたり一面に銀の粉砂糖を降りかけたみたいだ。


その朝から雪はずっと降り続けて、森は何年ぶりかの大雪になった。



ぼくらは大喜びして、思いつく限りの遊びをした。


きつね達に頼んでそりを引いてもらったし、真っ白い服を着てかくれんぼもしたよ。

凍った湖でダンスをした後は、雪でどれだけ高い塔を作れるか競争したんだ。


女王様やグラッサさまそっくりの像を作ったら、みんな大喜びしたけど

ウィッカの像だけ作った次の日になくなっていたんだ。

肩に乗ったラタン(魔女見習いの飼い猫)が全然似ていないって、怒って自分で壊しちゃったんだって!



そんなこんなで、ぼくらは冬の贈り物で毎日楽しく遊んでいたんだけど……

どんどん積もる雪は森の音を奪っていくみたいだ……



仲良しのリス達も熊のメイセルも、遊びに誘っても眠ってばかりで起きてこない。

訪れる旅人たちもめっきり減ったし、吟遊詩人まで森を離れていってしまった。

雪に閉ざされた村々へ物語を届けに行くんだって。


ぼくたちだってまだ続きを聞いていないお話もあるのに、真冬にわざわざ寒いところに

行かなくてもいいじゃないかって、さんざんネリと一緒に引き止めたんだけど……



「詩人にとってこれほどの幸福が他にあるでしょうか?

じっと耳を傾ける人々の顔が、炉辺の炎にあかあかと照らされて……

それは胸を打つ、一枚の絵のようですよ。いつか一緒に行きましょう、妖精さん」


こう言って、詩人はハープだけを背負って吹雪の中を歩いていったんだ。