ああ死にたいな

愛が何かは分かっているつもり

愛されたことはなくても


でもそれに値しないと思い込まされ

信じ得るようにすら育ってはいない自分を

ちっともさっぱり愛せないよなあ


永遠に若く美しくなければいけないし?

無理なことを求めて

いつも苦しむよう選んで生きているんだ

もともと存在価値なんかないんですから

こんな自分優しくなければ好かれないし?
わがまましても許されるどころか
誰よりいい子にしても褒められないで叱られて
そんな奴らがどうやって社会に出て結婚して
子どもを何人もこさえられたのか不思議ですなあ


もう何にもしたくないし

多すぎる傷を癒すのも面倒くさい

何もかも一人でやってきた私をおもって

泣いているだけ


信じない方が傷つかないのだけど

もうそれすらどうでもいい

当たり前だよね

こんな酷い目に遭わされて

諦めた方が楽なんだ

期待なんかするのが馬鹿だよ

全くみんな裏切り者の嘘つきだからねえ

ひとも自分もねえ


ああ死にたいな死にたいな

口にすると少し楽しいよ

病んでいるって笑う人は

こんな人生知らないだけだよ

逆にこっちが笑ってしまうなあ

朝起きて真っ先に死にたいと思わないなんて

信じられないな

ばけものたちから生まれた体を
切り刻みたくてしかたがない身としては


うってかわって

大切にされてきた健全な人は

自分が一番だいすきだから

得になる恋人やら結婚相手を素直に選べて

たいへんけっこうなことだ


依存せず自立しておられて

振られたら相手のせいにして

浮気されたらそいつのせいにして

自分をちっとも責めずに

それくらいで死ぬなんて弱いやつだと

げらげら笑えてけっこうなことだ


ひとを叩いて強いと思え

残高を見てみじめにならない人生
良い思い出を振り返られる人生

たいへん素晴らしい

実力と努力だけでなく

運がいいからだと気づかないひとびとに

なりたいもんだがもうどうでもいい


虐められて死ぬのは嫌だが

虐める方のがなりたくないんで

生まれ変わりたくもない


ただこんな世界はべつにそれはそれで

このまま回って

幸せな人は幸せに生きていくのがいいし

恨んだり怒る元気もないから

自分を消してしまった方が早いんだよ

わかんないだろうなあ


でもねただひとつ 


こんなことを誰にも

ずっと言えずに耐えるばかりで

わらっていたのだから

誰にでもなくぶちまけられる

みっともなくすすり泣ける

今のわたしだけは否定しないよ

長かったなあここまでくるの


悲しみだとかそんなことを感じる心も

最後には無くなってしまうんだ

疲れきって誰かを呪い殺すより

せめても愛した人々の幸せを願って消えるのが

わたしたちの末路なんだよ


地獄に行くのはおそらくこんなひとたちでなく

こういうふうにさせた

今も平然とわらっているやつらなのだから


ああ死にたいな死にたいな

何もかも面倒くさい

もう頑張らなくていいんだよ

死んでしまえばこの苦しみも消えるし

いいことしかないよ


悲しむ人のために生きろって言うやつはさあ

よほど幸せな人生か

幸せな頭してるんだねえ

自分のために生きられたこともないのに

どこまで他人のために生きろって言うの


心から悲しんでくれる人がたくさんいる人が

死ぬと思っているのかよ

いやはや笑っちまうねえ

いたとしてもそれより苦しいから死ぬんですよ

一瞬で楽に死ねると思ってんのかなあ

漫画や映画みたいに綺麗に死ねないのに


人はなかなかいいもんだと思うよ

こんなことを朝から書いて

死にたいなあと泣くわたしを

勘定にいれなければねえ

でもだまして嘘ついて

無理やりわらっていたあの頃より

正直ものだから好きなんだ


生まれてこなければ良かっただとか

いっぺんも思わない、

車をぶつけたり失くし物が続いただけで

ああ不幸続きだなんて嘆ける人生って

こんなに想像力があっても

ちっとも考えられないねえ

不幸のレベルを比べないで欲しいねえ


「不幸自慢」だって?

不幸くらいしか自慢できないひと達に

それを言わないでくれたまえよ!

また笑ってしまうから

努力が足りないなんて偉そうに言うなら

試しに代わってごらん 絶対に嫌なくせに

そうしたらもっと早くに死んでるか

それかとっくに犯罪者だから

そんなひとたちがたくさんいるんだ


でもその幸せは祝福したいね

だってうらやましくはあるけれど

妬んだりそねんだりはしないんだ

ひとを攻撃していい気分になれる

もしそんなふうになれたなら

自殺なんかしない側に入れただろうねえ


ああ死にたいな死にたいな

死んだ人だけが仲間だよ

信じられるのはねこだけ

こんな気持ちを寄ってたかって

追いつめて否定するから

みんなもっと弱って死んじまうんだ


きれいごとしか許さない世界こそが
何よりも汚い
でもきれいごとの中で生きられる人たちを
一つも傷つけず呪わないで散ってゆく花たちを
美しいと讃えてほしい

ぼくらの探しもの

いつもぼくらは
『「愛してる」以上の言葉はないのかな?』って探しているね

誰よりも傷つけて
誰より傷つけられながら
まっすぐに見つめあえもしない
いい大人のくせに
夢物語を語ってさ

ねえ、でも
名前がないと無いことにされてしまう便利なこの世の中で
『そんなものは見つからなければいいのに』、と
同時に願ってもいるよ

だっていつもの矛盾したこの気持ちは
二つではなくて一つで
あんまり透明にすぎて
哀しみに近いから

だけれどもこの愛おしいゆりかごに揺られて
ここに来る前のどこかに還ってゆけるのなら

ぼくらは死すら「歓び」だったと
ちっぽけな墓に刻むだろう

手向けられたどんな花よりも
甘く美しい見ることも出来ない
すきとおった哀しみが
いつまでもぼくらをつつむ

風よ歌っておくれ
望むのはそれだけ

何もかもが変わりゆく不信だらけの無情なこの世界で
永遠をねがい信じ続けている
ばかげたぼくらの夢が
醒め ほどけてしまわぬよう

五月の蔦よ イチイの枝よ
どうか封じ込めてくれないか
望むのはそれだけ

Church

when I tremble with anger

when sorrow hurts


to escape the violent storm

I stand quietly in the church; inside me


There is nothing

bright stained glass

icons and crosses

Altars, flowers, even chairs


even though there is nothing

full of everything

the place is

just wrapped in a faint light


go to that holy place

Great healing and forgiveness surround me

Nothing can shake the stillness


All I need to do to get there is my heart's desire

prayer,

words,

it has power and prophecy


Let's pray


no matter how polluted

every time

Washed, increased brilliance

Remembering that, I was given a white robe.


オシアナス

どこかの誰かに響く言葉をいくら連ねたとしても

あなたをこれ以上傷つけるならば

そんな刃は折ってしまいたい

それか逆手に持ってこの薄い胸を貫け


普通の可愛い奥さん

恵まれ育ちであなたに釣り合うような

そんな素敵なひとだったら

今ごろ


立派な会社にも在宅じゃなく毎日行けて
同期や上司とお付き合いもできて

悪夢でうなされるわたしを宥めなくてもいいし

ちいさな可愛い息子を保育園に預けなくても

哀しい辛い思い出やおかしな話を延々聞かなくてもいい


体力があって車だって運転できて

ひとりで買い物に行ける

そんな当たり前の

経験だって貯金だって人並みにあるお嫁さんなら

今ごろ

一緒にどんなテレビだって映画だって

笑って観られたのに

きっと人生でいちばん幸せな時だったのに


傷つけられるのは慣れていても

やっと頼って縋って甘えて

誰よりいちばん愛している人を

傷つけるのは耐えられない


修行のような何十年を

地獄みたいな人生を耐えても

夜毎の再演にもがいても


あなたをまた同じように傷つけるなら

死んでしまいたい


反省しているのに

復讐なんてもう充分だし

言葉で傷つけるのは一番いや


酷い過去を振り返っても悔し涙も出ないのに

傷ついたあなたを見ていると

胸が張り裂けそうになるのはなぜ

哀しそうな姿を思い浮かべるだけで

ぼろぼろ泣いてしまうのはどうして


何も描けなくて書けなくて創れなくていい

せめて普通の料理が得意なお嫁さん

子守歌の上手なママになりたい

あなたを孤独にしてしまう私が許せない

貧しくしてしまう自分が惨めでたまらない


ランボルギーニも叙々苑も知らなかったけど

オシアナスの時計をあなたに贈れる私がよかった

自分の時計より綺麗な青色の腕時計が

どんなにか似合うだろうと

年金をどれだけ貯めたら買えるのか

その値段をいつも眺めていた


きらめく海の色したオシアナス

「25万円」は宇宙より遠かった

月に3万円しか稼いだことのない私には


中卒って短足ってうつ病って

どんなにばかにされても笑われても

好きな人の好きなものを迷わず贈れる私がよかった


みんながなりたがる『特別』になんかならなくても

あなたの特別になれるなら

それだけでよかったのに


オシアナスの時計

青いオシアナス……


この涙を閉じ込めて海に揺すれ

しば犬

あーあ

人間って嫌だな

あいつらも人間 わたしも人間

どいつもこいつも

人間


あーあ

人間っていいな

かれらも人間 あなたもわたしも

一人残らず

人間


公園のしば犬よぉ

すっぴんでカラコンも無しでよぉ

おしゃれな服すら着てないし

加工もしてないのになんであんな可愛いの

完敗だよ

どう見ても性格いいし

勝てるわけないよ

人間


あの子にお手したり

お腹をだして降参したい

でも息子が今のわたしの年になり

若干汚いおっさんになるのも

それはそれでいいもんだ

しば犬と比べるのが間違っている

人間


We

we never give up on ourselves,

we trust us to the end,

we forgive us,

we love us,

so we can live for someone else, too.

ママ (亡き祖母への追伸)

ママは昨日眠剤を二回飲んだよ

あんなに強いのによく眠れないし

恐ろしい夢ばかり見る

発作の頓服も二袋一気に飲んだ

一番可愛い盛りに

充分に手もかけてあげられない

ママはママ失格だ


暴れたり泣いたり奇声をあげたり

でも戸を閉めて

きみには聞こえないようにする

パパに怒鳴るのもきみのいないところで

酷いLINEも読まれる前に消すようにした

何十年前のことより昨日のことが

今朝のことがもう思い出せないんだ


ママの人生は幸せじゃなかった

ちっとも良い思い出なんかありはしなかった

王子様だと舞い上がっていたパパも

とてもとてもおかしかった


努力したら報われるって

そうとも限らない

だったら誰も自殺なんかしない

おそらく凶悪犯も生まれない

ただママは死ぬほど頑張って

這いつくばって耐え抜いて

ようやくきみに会えた

何もかも報われた気がした


ほんとうのことを言うとママは

全然子どもは欲しくなかった

どんな子でも大好きなのに

どんな子にも好かれるのに

なぜか自分の子だけは欲しくなかった


周りの人はみんな

早く結婚しないとこどもが産めないよと

さかんと急かすけど意味がわからなかった

子どもが欲しいから結婚するなんて

訳がわからなかった


だからパパに

子どもを産めなくてもいいよと言われて

嬉しくて泣いた


でもとてもとても寂しい暮らしで

赤ちゃんが来てくれたら

この家も賑やかになるかな

パパも変わるだろうなと思った


みんなみんな私に似た女の子がいいと

決まってそう言うのに

絶対にそれだけは嫌だと

ママは無意識のうちに思っていた
嫌だなんてだれにも言えないのに
それは鉄の扉のように頑なだった

何故かはわからなかった


だからきみが来てくれて

男の子で本当に嬉しかった

トイレで神様ありがとうございますと泣いた


パパは変わらなかった

もっと酷くなった
死にたかった

一人で耐えて耐えてきみを産んで

幸せしか待っていないと信じていたのに

きみが教えてくれた真実は

恐ろしく残酷だった


元の家でも

今の家でも

ママは傷つけられてばかりだった

真っ白に塗りつぶしていたものが

真っ黒だったことを知った


自分の腕をナイフで切るのは

心をズタズタに引き裂かれるより

ぜんぜん痛くないからだった


病んでいるとか歪んでいるとか

そうなって当たり前なのに

全部忘れて笑っていた

辛いと言うのも死ぬことすら許されず

殺人犯たちに感謝していたんだ


信じていた世界はママが作り上げた偽物

それが全て裏返しになった

綺麗な皮膚に隠されていた

腐った腑が剥き出しになった


でもそんな真っ暗な悪夢のさなかに

小さな小さなきみをベランダで抱いて

青い空を見上げたあの日

短い雲を春も間近のひかりが縁取り

ママはこの瞬間を永遠にと願った

どれほど眠れていないかしれなかったけど

このまま何時間でも立っていたいと

綺麗だねえときみに話しかけて笑った

心から幸せだと思ったんだ

生まれて初めてだった

心から生きたいと感じたのも


そうしてきみもいつか

美しいこの青を見られるようにと

それだけを願った


凹んだ乳首からたった一度だけ

きみがじかにおっぱいを吸ってくれた時

きみの小さな口からお乳がもれた時

産まれてすぐのきみを抱いた時

ママは誰よりも幸せだった

拷問のような初産
「生まれてきてくれてありがとう」
誰にも言われたことのない言葉が
自然と乾ききった口からこぼれた
ボロボロ泣いた
写真を撮られて不細工とかそんなの
どうでもいいと思えたのも初めてだった


きみは温かくて重かった

きみはいつでも生きようとしていた

きみは残酷な事実だけでなく

命というものの本当の意味を尊さを

すべてをママに教えてくれた

眠って息をしてお腹が空いて泣いてミルクを飲んでげっぷして

それだけなのに


たくさん撮った写真を見返しても

ほとんど思い出せなくても

絶対に忘れない


産まれたばかりの何もできないきみに

どんな絵や音楽より物語よりも美しいものを

ママはもらった

多分あんな感動は

これから一度だってないだろう


そのちからで今生きている

きみの温かさと重さで生きている

これは愛とは少し違うのかもしれないと思う


こんな人生でも人を妬むことはなくても

痛みなく容易く子を産んで

産後太りして添い乳しながらウトウトして

もっともっとかまってあげられる

ずっとずっとそばにいてあげられる体力があり

明るく優しいひたすら幸せな気持ちになれる

そんなママたちがとても羨ましい


愛されたり頼ったり縋ったり

甘えたり守られたり助けてもらったり

何もしてもらったことがないママだけど

きみに全てやってあげたい


きみが誰にも虐められないように

誰のことも虐めないように

虐めっ子がいたらそっと教えてごらん

ママはその子のおはなし

誰よりも聞いてあげられる


老後が寂しいとかってつまらん理由で
簡単に子どもなんか産むもんじゃないと

小学生から言い切ってしまうほど

辛い可哀想な
子どもらしくない子だったママに

きみをくれたパパを恨むことはしない


あんなにいいパパだから

きっときみは幸せになれるだろう

それはママの幸せ

きみが歩けるまで生き抜いた

それがママの誇り


ママはきみが幸せならば

安心して思い残す事無く死ねる

これは愛とは違うのかもしれない

何となくそう思うんだ



きみはママの命だったんだ




追伸

おばあちゃん天国から見てますか

ひなのちゃんに似てるのにと

外に出られず彼氏もできないのかなあと

心配してくれたおばあちゃん

私もやっとママになりました


おばあちゃんがこう話してくれたのを覚えてます

「人生で一番感動したのは子どもが生まれた瞬間だった」と
私にはどうやっても無理だろうなと
その前に死にたいなと思っていましたが


元家族で唯一尊敬するおばあちゃんが

五回味わったその感動を

たった一回ですが私も味わえました

おそらく何百倍もの強さで
何万倍の難関を潜り抜けて


おばあちゃん天国で喜んで下さい

私はそれがわかっただけでも

生き抜いた甲斐がありました

貧乏で自分の食べ物がなくても

おにぎりを娘に届けて倒れた

おばあちゃん喜んで下さい

おばあちゃん喜んで下さい


貴女の命もここに生きています